2005年10月11日

現代日本外交における米国との関係

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今回の記事は戦車とは少し話がずれるが、普天間の基地移設問題などで、最近ホットな話題となっている日米関係について、私の意見を述べてみたいと思う。

二位以下の国々を大きく引き離して世界一を誇るGDP。世界のすべての国を合わせたよりも強力な力を持つ軍隊。先進国の中で最も広く豊かな国土。これらの条件を持つ国は即ちアメリカである。
 
我が国は、このアメリカと強力な同盟関係にあり、さらに軍事に限らず貿易や民間交流も非常に盛んである。それゆえ我が国の外交は日米関係を基調としたものになるのが必然である。
 
しかしながら2001年の9.11以来、アフガニスタンイラクと、テロに対する戦いに突入していくアメリカに、右派左派に関わらず批判の声をあげる勢力が国内に増大しているのが日本の現状ではないのだろうか。共産・社民などに代表される、左翼の相変わらずの反帝国主義的主張は相手にしないとして、旧来の親米派である保守派における反米的傾向の要因について考察してみたい。それによっていかに反米派が誤っているかを立証してみたい。
 
反米派は、「アメリカが大義なき戦争を行っている」という。すなわち国連を無視した戦争であり、自国の国益のため石油を狙った戦争であり、大量破壊兵器も見つからなかったアメリカの言いがかりの戦争だというのである。これらの主張は、たしかに事実ではある。だが、こういった表面的事実とは他に、アメリカの長期的なストラテジーや、打倒されるべきフセインの独裁体制テロリストたちの実情というものを我々は考えなければならない。
 
第一点として、アメリカの長期的ストラテジーであるが、これはH・キッシンジャーの「外交」を読むと非常にわかりやすく、詳しく知ることができる。私なりにその要旨を述べると、ウィルソン以降のアメリカ外交というものは、外交の根底に正義や道徳を置き、それを世界に拡大していこうという方針なのである。すなわちキリスト教的背景からこれを言えば「enlightenment」、すなわち「啓蒙していく」ことである。
具体的な例としては、ウィルソンの作った国連、第二次世界大戦におけるファシズムとの戦い(日本に対するアメリカの挑発的戦争に関しては、私は容認してはいないし、そもそも当時の日本が完全なファシズム体制であったかというのは非常に疑問視される問題である。)、冷戦における共産主義者たちとの戦い、などである。
 
このアメリカの正義の押し付けに対して、反発を持つ人々は非常に多い。彼らの論理は、「それぞれの国にはそれぞれの国のやり方があるのだから、民主主義の押し付けは良くない、さらに暴力による押し付けはもっと良くない」といったものである。もちろん、私も民主主義が万能だとは決して思ってはいない。だが、民主主義が現在のところ最善の政体であるというのは認めざるをえない事実であるし、アメリカがその攻撃の対象としているのは圧政を行っている国家だけである。
 
では、第二点として圧政を行う国家について考察してみよう。例えば、ナチスドイツは、国家政策としてユダヤ人を迫害し、計画的に500万人ものユダヤ人を虐殺した。ユダヤ人迫害はナチスドイツの崩壊まで継続され、外国の介入なしには決して解決はされなかっただろう。全体主義国家は国内に対して非常に強固である。北朝鮮を見ればそのことが明らかな事実であることがわかるはずだ。軍・政治を牛耳り、秘密警察を作り、通信・交通を独占し、密告によって反乱者を未然に防ぐ。よって全体主義国家の内からの崩壊はなかなか期待できない。ナチスドイツ、ポルポトのカンボジア、ソ連、いずれも外からの圧力があってはじめて崩壊に至ったのである。
 
これら圧政を行っている国家に対して、「それぞれの国の事情」という理由で不介入を主張するのは、いじめを見てみぬふりをするのとまったく同じで、不道徳であるといわざるをえないだろう。
 
以上のような理由で、私はアメリカの戦争に大義がないという主張が誤っていると考える。アメリカがなぜ北朝鮮や中国を差し置いてイラクを目標にしたのかということは、やむをえない理想と現実との折り合いである。実利がなければ国民はついてこないし、大量破壊兵器を実際に保有している国を攻めることは困難だからである。
 
反米派の人々の主張する外交方針として、アメリカを捨て、中国や韓国などと連帯する「アジア主義」を主張する人々がいる。だが、私はこの方針に対して非常に懐疑的である。

まず、中国は共産主義の全体主義国であり、基本的に日本とは性質的に敵対する国家である。さらにいえば、中国は、一時的には日本との連帯を歓迎するかもしれないが、中国の長期的な目標はアジアの覇権を獲得することであり、この点からも日本に敵対するものである。

次に、中国・韓国ともども、国家政策として「反日」を一貫して掲げており、これを取りやめないかぎり、真の友好を築くことはできない。
以上がアジア主義に対する反論である。
 
保守派の人々は、第二次世界大戦でのアメリカによる加害から、反米になりがちであるともいえる。しかしながら、そういった感情をこえて今現在親米を貫くことが、日本の国益に合致するのであるし、日本の主体的な政策方針として客観的にも最善の道なのである。
posted by 戦車男 at 11:12| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(1) | 小論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
リアリズムというものですか・・・。
Posted by 流浪人 at 2005年10月26日 00:46
流浪人さん

コメントありがとうございます!

確かにリアリズムといわれればその通りです。アメリカが世界一の強い国なのですから。

アメリカの一国主義的な傲慢さや、かつての戦争での経験から短絡的に感情的な理由で反米を唱えたところで、それは日本のためにはなりません。もしもアメリカが敵に回ったらということを考えたことがあるでしょうか。反米の心は内にしまいつつも、国益のために親米とならざるを得ないのが現状でしょう。

日本自立のためには、まずは軍の増強と核武装です。しかしながら、この二点についてもアメリカと共同で行うことが最も現実的だといわざるを得ません。

なお、現在のアメリカの外交姿勢は、日本としても賛同できないものではないと思います。アメリカの目標は、現実との折り合いもありますが、あくまで「圧政を行う国家を世界からなくすこと」です。これは今までのアメリカの外交史を見てみれば明らかなことです。
Posted by 戦車男 at 2005年10月26日 12:46
レス有難うございます。

最近、中国での反日デモ等の影響か、それまで親中で中国離れしたと思われる人々の中に中国と米国の両方と距離をおくべきであると主張する意見を聞くようになりました。しかし、資源のない日本として孤立主義的な動きは日本の国益にならないように思えます。妄想気味な発想かも知れませんが、個人的には中国工作員による日本孤立化工作という臭いもしてきます。少なくても、最近になってオーストラリアに亡命した中国人による告発で暴露された中国によるオーストラリアの政治的植民地化工作等を考えれば、必ずしも怪しげな陰謀論と片付けられないから怖いものです。中国による海外での政治的植民地化・政治工作に関連するニュースを幾つも見てきましたが、その凄まじさに恐怖さえ感じます。

今日まで米国を重視してきた日本ですが、もうひとつの選択肢として、これまで重視してきた米国の他、インドとオーストラリアを含めた日米印豪による同盟関係(同盟の多極化)の可能性について考えるようになりました。中国の「戦略的国境」という概念による尖閣諸島や東シナ海等、日本の主権を脅かすようになった中国を牽制する意味では、中国の「西」に位置するインドとの関係が今後も重要になると思います。米国もインドと急接近しており、経済的、軍事的に発展するインドと米国との関係強化は日本にも少なからず意味を持つものになると思います。中国が最近、インドとの関係改善を模索するようになったのも、米国と日本の首脳によるインドへの訪問と共同イニシアチブが発表されたからだと噂されています。日本もインドとの関係強化を模索する一方、日米豪による三者会談も開かれました。詳しいことは聞いていませんが、三者間の関係をこれまでの日米、日豪、米豪の個別的な二国間関係から日米豪の集団的で多極的な関係に発展してきているように思えます。中国の暴走を抑える意味では、インドとオーストラリアを含め、日米印豪関係の構築が日本の国益を追求し、同時に米国への依存体質への不安を和らげることが出来るのではないかと思います。
Posted by 流浪人 at 2005年10月26日 22:36
流浪人さん

返事が遅れまして申し訳ありません。

>個人的には中国工作員による日本孤立化工作という臭いもしてきます

十分考えられることです。中国人が日本人と結婚し、子供が生まれたら、その中国人の家族が日本に移住してくるということが、表面には現れていませんがすでに実施されていると聞きました。

外国人の参政権が認められた場合、人口の少ない地方公共団体などがのっとられる可能性もあります。それによって本国にとって都合のいい政治が行われることになるでしょう。

オーストラリアについてはわかりませんが、インド・台湾・モンゴルなどは、いずれもリベラルな民主主義という価値観と、中国に対する脅威を共有できるので、それらの国を日米同盟の枠に組み込んでいけば、日本の安全保障はより安泰なものになると思います。日本の経済界も、だまされる上、日本の内政に口出ししてくる中国などに固執せず、上記の国々に経済進出をシフトして言ったらいいと思います。

中国など所詮日本のGDPの五分の一しかありません。代替国はほかにあります。日本側が中国に合わせて付き合う必要はありません。
Posted by 戦車男 at 2005年10月31日 08:58
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Tracked: 2005-10-11 17:40
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