2005年09月01日

シャーマン中戦車

m4mtk.jpg
はっきりいってこれといった特徴のない戦車である。背が高くずんぐりとした車体。おわんを伏せたような円柱の砲塔。時代遅れのコイルスプリング方式のサスペンション(螺旋状のばねによって支える方式。初期の戦車に多用された)。背の高い車体は敵の的になりやすく、連合軍の兵士たちからは不評であった。

この戦車からは精悍さやたくましさといったものは何も感じられない。平凡な戦車である。その性能も平凡で、当時の主流の75mm砲を装備、31トンの重量で400馬力のエンジンを搭載し、時速40キロメートルの速度であった。ノルマンディー上陸後のドイツ戦車との戦いでは、シャーマン戦車は苦戦を強いられることとなった。その当時のドイツ機甲部隊の主力は、4号戦車、パンサー戦車、3号突撃砲などであったが、シャーマンが互角に戦うことができたのは4号戦車ぐらいであった。ドイツの重戦車ティーガー戦車が出現したときなどは、圧倒的戦力差から、連合軍の戦車兵たちがパニックに陥り、逃げ出すほどであった。

このような戦車が、なぜ主力戦車の座にあり続け、連合軍を勝利に導いたのだろうか。それは、その膨大な生産数と、機械的な信頼性の高さであった。シャーマン戦車はその単一の車種のみで6万輌以上生産されている。平面的な車体の構成と、鋳造(型に鉄を流し込んで生産する方式。曲面の形成が容易で大量生産に向いている)の砲塔により、シャーマンは極めて生産性が高かった。6万という数字は、第二次世界大戦中のドイツのあらゆる種類の戦車の生産数の合計よりも大きい数である。なるほどたしかにシャーマンは個別的なドイツ戦車との戦いで敗れはしたが、圧倒的な数の力で全体的な戦いに勝利したのである。

そしてシャーマンは他の戦車と比べ故障が少なかった。これは自動車生産大国アメリカの技術的な底力に裏打ちされたものだった。そのため、ドイツ軍でさえも鹵獲(遺棄された車両などの取得や、降伏などにより車両などを手に入れること)したシャーマン戦車を好んで利用した。ソ連軍でもレンドリース(武器貸与)されたシャーマンを重用した。第二次大戦後のイスラエルでも、独自の改造を加えられつつも使われ続けたのである。

このような視点からも、戦車という兵器の持つ強さが明らかになろう。つまりカタログデータのみの戦闘力ではなく。その生産性・機械的な信頼性などの要素の考慮である。そういった意味でシャーマン戦車は傑作戦車ということもできるのである。


M4シャーマン中戦車
全長:5.94m
全幅:2.61m
全高:2.74m
重量:31トン
主砲:75mm
機関銃:2
馬力:400
最高速度:40km
posted by 戦車男 at 15:57| 東京 🌁| Comment(7) | TrackBack(0) | 戦車図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書くのは私が初めてなのかな?
初めまして。
戦車は大好きですよ。特にドイツ軍のね。
旧日本軍の戦車はよく知らないので色々お教えください。
海岸で戦車の残骸が見つかった記事は私も読みました。すぐそこへ行ってなでなでしたかったでしたね。
それではこの辺で失礼します。
Posted by araza at 2005年09月02日 00:14
araza様、コメントありがとうございます!

戦車ならば基本的に好きなのですが、私もドイツ軍の戦車が特に好きです。ドイツの国民性からくる機械的な複雑さや、実際上の効率を無視した戦車開発(ティガーやマウス、Eシリーズなど)、そして何とか戦車不足を解決しようとする工夫(駆逐戦車などの開発)。などなど、ドイツ軍の機甲部隊にはいろいろな魅力がありますよね。

私自身、まだまだ浅学の身ですので、基本的には広く浅く、そして時には深く。わかりやすく面白い記事を書いていきたいと思います。

これからもどうぞよろしくお願いします!!
Posted by 戦車男 at 2005年09月02日 15:25
初めまして。

シャーマン戦車はその力や防御力不足をファイアフライやジャンボウなどの
、特徴的な改修型によって補おうとしてたのも見所一つですよね。

また、4号戦車も同じく初期と後期でまったく形が違うものになってるあたり、現場の苦労を感じ取れます。
後期になると装甲版増えるは、砲塔も長くなって遠目からはまるでtigerの様にみえたとか・・。

tigerやpantherの様な派手さはありませんが、ああいう縁の下の力持ち
的な戦車も自分は好きです。
Posted by M.A at 2005年10月03日 21:21
M.Aさん

はじめまして。コメントありがとうございます!

M.Aさんのコメントにあるように、シャーマンもW号戦車も長い間使われ、現場の要求に応じて次々に姿を変えていった戦車ですよね。確かにセンセーショナルなデビューをして短く太く活躍した戦車の方がいろいろと取り上げられがちですが、性能的には目立たないけど長く使われいくつもの物語を抱えている戦車の方が僕も好きです。

シャーマンは大戦後もイスラエル軍で改良を重ねられ1970年代まで使われましたしW号戦車は実にA型からJ型まで十数回もの改良が施され大戦の全期間に渡って使われていますよね。シェルツェンを装備したH型以降のW号のゴチャゴチャ感はかなり好きです。ドイツ軍ではW号戦車は「軍馬」と呼ばれ愛用されていたそうですね。
Posted by 戦車男 at 2005年10月04日 10:49
はじめまして。

私はシュツルムティーガーやカールみたいなとにかく
弾が大きい戦車が好きです。性能は別として、やっぱり迫力があるところがいいと思います。
短いですが失礼します。
Posted by まさ at 2005年12月21日 15:26
まさ様

はじめまして!コメントありがとうございます。返信遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

やはり戦車の魅力の一つははその大きさや質量に現れる迫力ですよね。特に大きな砲を低く構える自走砲などは迫力があるように思います。

これからももしよろしければコメントなど宜しくお願いします!
Posted by 戦車男 at 2005年12月24日 20:23
こんばんは え〜と この戦車男さんのプログは二カ所開設してるのですか?昨日 だったかな?(笑)四号特殊弾薬運搬車を検索してたら 戦車男 てプログあったから項目見たらM四てのがあったのでコメント書き込みしたのですが このページからは見れないんですね?チンプンカンプンな事言ってたらすいませ〜んソフトクリーム(^-^)/
Posted by ヒロシ at 2008年09月24日 19:19
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