2006年01月30日

戦車のサスペンション

大重量の戦車を支える足回りは非常に重要なものである。走行中の乗員の快適性戦車の耐久性に大きく関係するし、主砲発射後の動揺を抑える性能は、砲の発射速度に直接繋がってくるからだ。ということで、今回は戦車のサスペンションについてみてみたい。

戦車の登場当初、走行や射撃による衝撃を吸収するサスペンションというものは装備されていなかった。そのために、車内の振動はすさまじく、乗員は壁に頭をぶつけても大丈夫なように保護帽やヘルメットを装備していた。初期の戦車は速度も遅く、大きな砲をつんでいるわけでもないので、それでもよかったのだが、次第に速度が速くなってくると、振動や衝撃は無視できなくなってきた。そこでサスペンションが採用されたのである。

初期のサスペンションの多くはコイルスプリング、またはリーフスプリング(板バネ)方式であった。コイルスプリングは写真にあるように、われわれが一般的に「バネ」と認識しているもので、このバネが伸縮することによって衝撃を吸収する。コイルスプリングを採用した戦車としては、ルノーFTやシャーマン戦車などがある。

(コイルスプリング)コイルスプリング.jpg

リーフスプリング方式は、金属の板を重ねたサスペンションで、それらの金属の板が、圧力に対して元に戻ろうとする力によって衝撃を吸収する。このサスペンションの特徴は、金属の板を重ねるという単純な構造のため、圧力の大きさに応じて減衰力(衝撃吸収)を容易に調整できるということ、そして強度が高いということである。今もリーフスプリングサスペンションは使われているが、主にトラックや建設機械など、耐久性が要求される車両に使われている。

(リーフスプリング)
板バネ.jpg

そして、現在の戦車の主流となっているのがトーションバー(捻り棒)方式のサスペンションである。コイルスプリングは、構造上、大重量を支えるサスペンションとしてふさわしくなく、リーフスプリングでは減衰力にいまひとつ不足があったのだ。トーションバーを口で説明するの難しいが、簡単に説明すると、車体の底に一本の棒を通し、その先端にスイングアーム(転輪を支えるアーム)が付いている。転輪に力が加われば、スイングアームが動くのだが、車体に固定された棒(トーションバー)が捻られまいと反発する。それによって減衰力を得るのだ。

(トーションバー)049-005.jpg

最初にトーションバーを採用したのはドイツでV号戦車であった。トーションバーはその後各国で採用され、主流となったのである。トーションバーの弱点としては、車体の底に棒を通さなければならないので車高が高くなってしまうことである。

もうひとつ言及しておかなければならないサスペンションは、油圧式のサスペンションである。これは、液体の出口のない注射器を想像していただければわかりやすい。このサスペンションの特徴としては、中のオイルの量を調整することによって車高や減衰力を容易に調整することができる点である。このシステムは世界に先駆けてわが国の74式戦車が採用したのである。
posted by 戦車男 at 13:18| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自動車はエアサスが増えてますね。
次回は戦車のショックアブソーバーについてを
希望。
Posted by オットー at 2006年01月31日 00:37
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