2005年11月22日

ソミュアS35中戦車(1935年・フランス)

ソミュアS35中戦車
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第二次世界大戦でのフランス軍の評価は非常に低いものである。陣地戦・歩兵戦を主とし、旧態依然とした戦略思想。将兵達の低い士気まったく活動を見せなかった海軍。こうした散々な評価を受けているフランス軍であるが、その中にもきらりと光る一面があったことは否定できない。その一つが今回紹介するソミュア戦車である。

フランスはもともと戦車先進国であった。初めて回転砲塔をもつ戦車を開発し、戦車の大量生産にも成功した。しかしながら、「陣地突破、歩兵支援」という、当初の戦車の使用目的にこだわりすぎたために、その後の戦車開発で列強諸国に大きく遅れをとることになってしまった。

当時のフランスで機動戦の主力を担っていたのは騎兵と装甲車であった。しかしながらこれらの部隊は、不整地での行動力、銃弾に対する防御力、堅固な陣地に対する攻撃力などの、いずれもが不足していた。この認識が強くなった1930年台初頭に、騎兵・装甲車に変わる機動力の高い戦車が開発されることになった。それが1935年に開発されたソミュア戦車である。

ソミュア戦車では、主に三つの斬新な技術が盛り込まれた。その一つが、鋳造による車体・砲塔の製作である。これによって従来の平版を組み合わせた戦士より、生産性が向上した。次に、タンク内に特殊なゴムをいれ、被弾して穴が開いたときに自動でその穴をふさぐようにしたことである。もう一つは、サスペンションの保護のためスカート(側面装甲版)を装備したことである。ソミュア戦車にはその後の戦車のスタンダードとなるさまざまな技術がはじめて使用されたのである。

加えて、戦車としての基本性能も、当時としては非常に優れたものであった。主砲の47mm32口径砲は、当時の主流の37mm砲より一回り大きく、500mで58mmの装甲板を打ち抜く威力を持っていた。装甲は前面56mmで傾斜した装甲を持っており、37mmクラスの砲に対する十分な防御力があった。機動力も路上で最大45km/hを出すことができ、まさに走・攻・守のバランスの取れた戦車であり、戦車個体を見れば、ドイツ軍のV・W号戦車よりも優れていたといえる。うわさの領域ではあるが、アメリカのM4シャーマンはソミュアをまねて作られたといわれたほどである。

ドイツ軍のフランス侵攻時、フランス軍は約500両のソミュア戦車を持っていた。しかしながら、フランス軍はこれらのソミュアをホチキスやルノー軽戦車・歩兵に組み合わせて、各個ばらばらの小さい戦闘集団に分割して運用してしまった。そのため集団で襲い掛かってくるV号・W号戦車に各個撃破されたのである。こうしてソミュアはろくな活躍も見せられず、ドイツ軍に撃破または鹵獲されてしまった。ちなみに鹵獲されたソミュアは300両ほどでパルチザン・レジスタンスの掃討、ノルマンディー上陸後の西部戦線で細々と使用された。

独ソ戦争初期のソ連軍も間違った運用で強力なT34を有効活用できずいたずらに失ってしまった。やはり戦車の能力というのは、それを運用する戦略や戦車兵のマンパワーにも大きく依存することがわかる。


ソミュアS35中戦車
全長:    5.38m
全幅:    2.12m
全高:    2.62m
全備重量: 19.7t
乗員:    3名
エンジン:  ソミュア V型8気筒液冷ガソリン
最大出力: 190hp
最大速度: 45km/h
航続距離: 260km
武装:    32口径47mm戦車砲SA35×1 (108発)
        7.5mm機関銃M1931×1 (1,250発)
装甲厚:   20〜56mm



posted by 戦車男 at 15:55| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | 戦車図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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